12.oh.9

吸って吐いて、また吸って。

朗読劇 季節が僕たちを連れ去ったあとに

朗読劇 季節が僕たちを連れ去ったあとに 『寺山修司からの手紙』山田太一編(岩波書店刊)より

 

 

ここ1〜2年ほど生きることが上手く出来ず、

いつものようにモヤモヤと寝転がっていた夜にこの公演を知りました。

松島庄汰さんと朗読劇というと

数年前に「朝彦と夜彦1987」を観に行き、

生きる苦悩のようなものに心が砕けるのではないかというほど

胸を打たれた記憶が強かったのですが、

今回は前に進む力を得られるのではないかと思い観てきました。

 

 

冗談抜きに本を読む頻度が低く恥ずかしいほどに無学で

この物語の幹となる寺山修司氏も山田太一氏も知らず

劇中に出てくる文豪のこともほとんど知らない私ですが、

それでも学生時代に出会い、笑い、

病に苦しむ間は幾度となく文を交わした時間が

この二人にとってはかけがえのないものであり、

その輝きはいつ治るとも分からない、

いつ死んでもおかしくない、

病の闇の中を生きる寺山修司という人間の進む道を照らすには

充分なものだったということだけは

しっかりと感じられました。

 

山田氏の手がけたテレビドラマ「早春スケッチブック」の中には間違いなく

氏から見た寺山修司という男の生きる姿が描かれていたこと、

寺山氏は晩年になって山田氏と学生時代のように語り合う時間をつくり、

その一日一晩一瞬を大切に過ごしたということ、

この事実が私の目にはまるで宝石のように輝いて見えましたし、

「さよならだけが人生だ」とよく口にしていた寺山氏こそが

誰よりも人とさよならすることを寂しく思っていたのではないか

という語りには涙が止まりませんでした。

 

 

 

床に、布団に横たわり、つまらない悩みに時間を消耗している場合ではない。

 

そう思いながら劇場を後にしたわけですが、

私は心根の強い人間ではないので

明日とは言わなくても明後日にはまた

モヤモヤと時間を消耗してしまうかもしれません。

それでも、この物語をふと思い出す時は
自分の進む道が少し照らされる。

そんな気がしています。

 

 

また何かあったら書きます。