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12.oh.9

吸って吐いて、また吸って。

HN collection シリアルキラー展

16/6/9 〜 7/10 特別展示 HNコレクション「シリアルキラー展」のご紹介 ヴァニラ画廊

 

見に行ってきました。

その名の通りの題材なので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平日の夕方だというのに物凄い数の人がいて圧倒されました。

美術展といえば喉に違和感を覚えるほど乾燥した空気の中で

肌寒いくらいの室温が保たれているものですが、

夏の気候と人混みとで蒸している室内に

扇風機が置かれているだけという光景は、

ここにあるものは芸術として評価されるようなものではなく

物好きな人が個人的に集めたに過ぎないものだ

という事を思い知るには充分でした。

 

 

作品自体に対する感想はというと、

”いかにも”な作品が多くてちょっと意外でした。

猟奇的な事件が想像できないような

それでいて言い表しがたい不気味さを放っている、

そんな作品が並んでいるのを勝手に想像していました。

 

いかにもな作品ていうのは詰まるところ

流血していたり体が欠損していたりする絵なんですけど、

見ていてすごく気になったのが、

絵が上手い上手くないに関わらず

”首が切られている絵はみんな頸椎が描き込まれている”

というところでした。

翌日出先で偶然「権力と暴力」を主題とした

作品を中心に活動している方の絵を見る機会がありまして

その中にも首を切られている絵はあったのですが、

頸椎の表現は特になかったんですよね。

これはただ単に絵のタッチの問題かもしれませんが…。

 

全体的には稚拙なのに腿のラインはやたら艶めかしい絵もあったりして、

どのような形であれ何度も人体と向き合ったからこそ

表現できる部分なのかもしれないと一人で納得していました。

 

 

それからもう一つ、

”細かい作業を繰り返すことを厭わない気配のある作品が多い”

というのも気になりました。

 

石垣を構成する岩が一つ一つ丁寧に描き込まれた風景画、

点描画の狼、複数枚存在する同じ構図の絵、

アイスキャンディの棒を集めて作った寄せ木細工のような置き時計。

これらからは何か一つの物事に執着する強さを感じました。

 

 

絵画だけでなく立体物や手紙なんかも展示されていたのですが

作品そのものよりそれらに添えられた作者…

殺人鬼の犯行や人となりを説明したボードの方が

注目を集めている光景は異様であると同時に、

会場にいる人の殆どが檻の中の猛獣を見ているような

自分とは全く関係のない向こう側の世界を見ているような

雰囲気を放っていてどの展示物よりも不気味でした。

 

 

シリアルキラーの大半は荒れた環境で育った背景を持っている中、

何の問題もない平和な家庭で育ったにも関わらず

薬物に手を出し妄想に取り憑かれ10人以上を殺害したという

ハーバート・マリンの存在には衝撃を受けました。

作品を見ている皆が無意識に引いている一線の上に彼は立っていて、

誰もがいつどこから来るかも分からないどす黒い狂気に駆られて

一線の向こう側へ行ってしまう恐ろしさを抱えているんだという

現実を見せつけられたような気分になりました。

 

 

現実を見せつけられたようだと言いましたが、

会場には「現実」もしっかり展示されていました。

今は無きエド・ゲインの墓の拓、

ボニー&クライドが警察の一斉射撃で殺害された時に

クライドが穿いていたジーンズの欠片、

H.H.ホームズが作り上げた殺人ホテルの外観写真などの

紛れもない現実はどんな作品よりも存在感を放っていて圧倒されました。

 

 

今回の展示の中で唯一引っかかった事なのですが、

末期ガン等の患者の為に安楽死装置を開発した

ジャック・ケヴォーキアンは殺人鬼なのでしょうか。

彼の装置で安楽死した患者は100人以上いたようです。

自ら装置を動かすことの出来ない患者の為に装置を作動させたことで

二件の殺人罪に問われて捕まったようなのですが、

そうなると他の患者は自ら選んで死んだということですよね。

自殺幇助を法で認めるとそれを悪用した殺人が起こることは想像できますし、

それは当然あってはならないことです。

しかし、生き続ける苦しさと死ぬ瞬間の苦しさを天秤にかけて

前者の方がつらいと判断せざるを得ない状況に置かれている人に

安楽死はあってはならない、自ら命を絶つのはよくないことだ、

と言い放つのはどうなのでしょうか。

生きる苦しみを理解できない健全なる人は”正しい”のでしょうか。

 

 

話が逸れました。

戻しましょう。

 

 

シリアルキラーの中には悪魔崇拝者(サタニスト)や

自らカルト教団を立ち上げた人もいたようなのですが、

端整な顔立ちに惹かれて集まる人は多かったという説明に驚きました。

色の白いは七難隠すと言いますが、

顔が良いのは一番隠してはいけない難まで隠すようです。

 

 

 

展示会の存在を知ったのが今月に入ってからだったので

行ったのも感想を書くのも期間ギリギリになってしまいましたが、

10日の16時頃までやっているようなので興味のある方は是非。

 

 

 

また何かあったら書きます。