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12.oh.9

吸って吐いて、また吸って。

ラヴ・レターズ 2016 The Climax Special

ラヴ・レターズ | PARCO STAGE

ラブストーリーを自主的に観るのって初めてかも

なんて王道の純愛モノを想像していたら、予想外のストーリーでした。

 

 

厳格な家庭に生まれ、真っ直ぐ育ったアンディ。

複雑な家庭環境で育ち、どこか危なげなメリッサ。

 

二人は幼い頃から何度も手紙を交わし、

惹かれてはすれ違いを繰り返し、

ついに結ばれると思いきや、

手紙を通じて互いを知りすぎたせいで

男女の仲になることが出来なかった。

 

それからも二人は手紙を送り合うが、

アンディが理想的な家庭を持ち、政治家になる一方で、

メリッサは芸術家としての成功は経験しながらも、

重度の鬱病になり、別れた夫に親権を奪われ、

仕舞いにはアルコール依存症になってしまう。

 

芸術の道も子供も失いアンディだけが救いであるメリッサと

今も心の何処かでメリッサに惹かれていたアンディは、

もう若いとは言えない年齢で、不倫という形で、ついに男女の仲となった。

 

一線を越えてからメリッサのアンディに対する依存は強くなるが、

政治家アンディのスキャンダルという形で騒がれたことによって

二人は再び離れ、話し合った末に手紙だけの関係に戻ることになる。

 

会わない方が互いの為だと分かっていながらも依存が止められず

処方される抗鬱剤のせいで一日の大半を朦朧と過ごすメリッサは、

アンディに別れの手紙を送り、ついに自ら命を絶ってしまう。

 

 

という衝撃的な物語なのですが、

若い頃は気まぐれな態度を取ってみたり、

大人になってからはアンディの社会的な立場を分かっていながらも

彼を強く求めるメリッサの在り方は

ハッキリ好みが分かれる部分だろうなぁと思いました。

そう思う反面、この展開は海外だからこそ

生み出せたのだろうなとも感じました。

 

若い頃のメリッサは二人が男女の関係になれなかった事に対して、

自分達は兄妹みたいなものだからだと言うのですが、

後半の一線を越えてからおかしくなっていく二人の関係を見ていると

その言葉は間違っていないように感じられました。

 

愛してるという言葉では重く、

それ以外の愛を伝える言葉でも大袈裟で、

手紙の最後に添える"愛を込めて"が

この愛情には相応しいというアンディの言葉が

とても印象に残っています。

 

物語の一番最後、アンディはメリッサの母へ宛てた手紙の中で

彼女以上の友情を築ける相手はいなかったと打ち明けるのですが、

男子校で育ち、海軍に入り、政治の世界へと、

男に囲まれた環境で生きてきた彼が綴ったその一文はとても深く、

決して返事が来る事はないと分かっている手紙の最後が

「さようなら」で締められている寂しさには胸がいっぱいになりました。

 

男女、友人、家族、色んな関係の中に愛があり、

そういった様々な愛が手紙を通じて表される。

"ラヴ・レターズ"という題には

そんな意味が込められているのかもしれません。

 

 

物語が終わって出演者がはける時に

アンディを演じた青木玄徳さんがそっと腕を構えて微笑み、

メリッサを演じた遠藤久美子さんが同じく微笑んで腕を絡ませたのですが、

そうやって歩いて行く二人の姿が作中でメリッサが「もしも…」と言いかけた

二人のあり得たかもしれない未来のように見えて、とても素敵でした。

 

一部、二部で衣装やメイクが若干変わるのですが、

同じ部の中でも手紙が続くにつれて声色が変わることで

二人が確実に年月を重ねているのが表現されているのは素晴らしかったです。

 

 

 

手紙について色々と考えていたら、

昔つまらない事がきっかけで大喧嘩をした友人から

謝罪の手紙を直接渡された事を思い出しました。

もちろん今もその手紙は大切に保管しているのですが、

何かの拍子に封筒が目に入るだけで

当時の自分の大人げなさを思い出して胸がチクッとするし、

読み返す度に冷静に生きなければなぁと背筋が伸びます。

 

手紙だからこそ素直に書けることもあれば、

手紙だからこそ格好つけてしまうこともあるでしょう。

どちらであっても、手紙は残っている限り心を動かします。

電話、メール、SNS

伝える手段がたくさん存在する時代を生きている私達ですが、

忘れたくない人生の節目に大切な人と

手紙を送り合ってみるのもいいかもしれませんね。

 

 

また何かあったら書きます。